認知症日記-17/52[2018/8/9〜10] ケアマネージャーに言われたこと
★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。
1. ケアマネージャーさんに言われたこと
8/10、昨日は初めてケアマネージャーのYさんの訪問を受けた。
初めてのことで、とにかく言われることをノートに書いていった。
資料、冊子も貰った。
翌日になって、読み返す。
母の様子、言動とYさんから言われた様々なことの間で、
「ああ、また母がやってもいないことを言っている」
「それ、昔の話じゃん」
そんな場面がたくさんありその都度、
「えっと、そうじゃなくて」
「以前はそうでしたが、今は」
といちいち横で訂正していたら、Yさんは慣れた様子で落ち着いて、
「大丈夫ですよ。後でご長男様から別にお聞きしますから」
と、この場は母が言うに任せろ、と言ってくれたのだった。
「通われている病院はどこですか?」とYさんが母に尋ねた時、
ついさっきも行って帰ってきたばかりのK病院ではなく、
「病院はね、O病院に行ってます」
あ、また。
さすがに「後で」と言われたものの、この時にはすかさず、
「いまはK病院に変えました」と小声でYさんに聞こえるように言った。
Yさんは、分かってますよ、というように自分が持参した資料の中からK病院のホームページのプリントアウトを私に示した。
そうか、もう伝わっていたのか。
7/27に地域包括支援センターに行った際、要介護度認定調査申請を提出した時に、「主治医」としてK病院を記入したし、K病院にはすでに区から「主治医の意見書作成」の連絡が入った、と昨日も聞いたのだった。
そういう情報はさっそくケアマネージャーさんに伝わるのだな、と感心した。
今日の訪問に併せ、Yさんはすでに病院のホームページから必要な情報をプリントアウトまで持参してくれていた。
すげぇ。
と感心したのだが・・・
つい2週間前にアルツハイマー型と宣告されたばかりなのに、
母との会話、
後で、と言われつつも時々ついつい私が追加するエピソードの訂正などから、
「わたしが拝見するところ、要介護2から3が出るかもしれませんね」
といきなり具体的な数字を言われ、少々ビビった。
2. 要介護度
要介護度は5段階あり、数字が重いほど重症だ。
要介護度5となれば、寝たきりで食事やトイレなども24時間の「全介助」が無ければ過ごせない。
「要支援1」
『公益社団法人 長寿科学振興財団』のサイトからの引用
日常生活動作(食事・排泄・入浴・掃除)の自宅での生活において、基本的な日常生活は一人で行うことが可能だが、手段的日常生活動作(買い物・金銭管理・内服薬管理・電話利用)のどれか1つ、一部見守りや介助が必要な人。
「要支援2」
要支援1に加え、下肢筋力低下により、歩行状態が不安定な人。今後日常生活において介護が必要になる可能性のある人。
「要介護1」
手段的日常生活動作でどれか1つ、毎日介助が必要となる人。日常生活動作においても、歩行不安定や下肢筋力低下により一部介助が必要な人。
「要介護2」
手段的日常生活動作や日常生活動作の一部に、毎日介助が必要になる人。日常生活動作を行うことはできるが、認知症の症状がみられており、日常生活にトラブルのある可能性がある人。
「要介護3」
自立歩行が困難な人で、杖・歩行器や車いすを利用している人。手段的日常生活動作や日常生活動作で、毎日何かの部分でも全面的に介助が必要な人。
「要介護4」
移動には車いすが必要となり、常時介護なしでは、日常生活を送ることができない人。全面的に介護を行う必要はあるものの、会話が行える状態の人が対象です。胃瘻や点滴で、食事介助の必要性がない人は、全面的な介護が必要でないと判断され、要介護4に該当することがあります。
「要介護5」
ほとんど寝たきりの状態で、意思の伝達が困難で、自力で食事が行えない状態の人。日常生活すべての面で、常時介護をしていないと生活することが困難な人。
いろいろ読んでみたが、サイトや本によって説明に微妙な違いがある。
言葉の説明なので、それぞれの介護度の差がいまひとつわかりにくい。
「自律歩行困難」
「寝たきり」
など具体的なことが書かれている箇所はわかりやすいけれど、
そうだ、「要介護」だけじゃなく「要支援」という区分もあり、
されに「要支援」に満たないと判断されると「自立」という認定をされてしまうこともあると言われた。
「自立」つまり、支援の必要がない、と判断されれば、介護保険を使うことはできない。
誰が見ても、なにも介護保険を使わなくても自分で生活できるのならばわざわざ要介護度認定調査申請をするわけもないと思うが。
それこそ、我が家家族は母が「自立」して独居生活を送ってくれていると思っていたからこそ、これまで介護保険の世界と無縁だったし、その中身についても全く知らないで来たのだった。
この認定された等級によって
「利用できる介護保険のサービスが変わります」
例えば自分で歩けず、介護サービスで入浴をさせて貰うには高い点数がつけられており、それを週に一回2回と使うとあっという間にけっこうな点数になっていく。
介護サービスには、
「在宅」家にいるまま介護人が来てくれる
「施設」専門の介護施設に通って受ける
「地域密着」巡回してくれたり
などがあるというが・・・
冊子を目の前にしても、現在の母にどのようなサービスを受けさせたらいいのか、皆目見当がつかなかった。
3. その病院で大丈夫ですか
母を居間に残し、別の部屋でケアマネージャーさんと差し向かいになった。
「要介護度が出ましたら、私の方で毎月のケアプランというものを作成させていただきます」
ケアプラン・・・よくわからない
「よろしお願いします」
「ただ、私の方で作成するのはあくまでもプランですので、ご判断されるのはご家族様です」
「なるほど」
「その判断の手助けになるように、この近辺にはいくつもの介護施設がありますから、ご家族様がぜひ見学にいらして頂くとよろしいかと思います」
「見学、なるほど」
「もちろん、私の方で、お母様に合いそうなサービスを提供しているところを選別してお連れいたしますので。お忙しいでしょうが」
「いえ、行かなきゃならないでしょうから」
「それから、あと一つよろしいでしょうか」
「はぁ、なんでしょう」
「このK病院なんですが」
Yさんはコピーを取り出した。
「なぜ、このK病院にされたのでしょう」
え、なぜ?えっと
「えぇと、認知症が疑われると思ってから母が通っていたのが、すぐそこのO病院だったので、認知症は専門じゃないということで、ネットで検索して、『認知症認定医』という肩書きがあって内科医だったので。
ここからなら隣の駅ですし、近いので」
「そうですか」
Yさんはプリントを何度かめくって改めて読んでいる。
「えっと、なにか?この病院ではマズいですか」
「いえ、ここの病院がどうのというよりもですね、私共この地区を担当させて頂いて長いことやっておりますが、このK病院さんというのは聞いたことがなくて」
「なんか新しいみたいですけど」
「そうですね、去年建てられたみたいですね」
「仰ってください、なんでも」
「はい。私共がこの地区で認知症、と言えばだいたい3つの病院が多いんです。
まずなんといってもX病院、そしてZ病院、それから少し遠いのですがM病院があります」
「Z病院はアルツハイマーと診断されたところで、うちもなにかとZ病院でしたけれど、何しろ待ち時間がすごい長いって有名でしたので」
「それはそうですね、確かに」
「それからK病院のK医師はZ病院の救急にもいたと経歴に書いてありますよ」
「ええ、書いてありますね。ただ、認知症関連ではないでしょうね」
「X病院は、あのXホームも運営しているところですよね」
Xホームは昔からある特養(特別養護老人ホーム)で広大な敷地の中、森に包まれるように建っていた。
その横にあるX病院には、何せ子供の頃で記憶が確かではないが親戚の誰かを見舞いに連れられて行ったことがあり、その時父か母がXホームの方を指差し、「あそこはボケた人が入る老人ホーム」と教えられた。
森が多く、なんだか暗い印象があった。
「M病院は女医の先生がとにかく認知症への取り組みが熱心で近くの病院が患者を取られたというくらい評判がいいところです。
MRIの機械も持っています。
ただ個人病院なので予約でけっこう一杯みたいですけど」
「はぁ、ただ、K医師も認知症認定医って掲げてますから決めたんですが」
「あの、こんなことを私がいうのは僭越なのですが、その資格はお医者様が半日講習を受けられると発行されるものなんですよね」
え・・・・そうなの!?
「はぁ。ってことは、病院を変えた方がいいでしょうか」
「いえ。それはご家族様のご判断なので、あくまでもこの辺の一般論を申し上げております。知っているのに申し上げないのもいけないかと思いまして」
「例えば、そのM病院は内科も診てくれるんですか」
「いえ、認知症専門ですね」
「それでも母が処方されている9種類の処方箋は書いてくれますかね」
「いえ、診察できないわけですから、内科のお薬は別で」
「ですかぁ」
糖尿のコントロールも重要ということで、月に2回、母を通院させるべく、弟とシフトを組んだが、認知症と内科で別の病院へ通院させると最低あと一回、もしくは2回通院させなくてはならない。
いろいろな選択肢が考えられるとしても、このままじゃなくてやり直しも検討しなくては??
暗澹たる思いに材料が一つ重くのしかかった
(手尾広遠)
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