日記,  認知症

認知症日記-251/286[2019/2/28-3] 明日は、施設に入居-3


★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


2019/2/28 『家の改修工事』これだ!。


2019/3/1からショートステイに「とりあえず」入居させようと決心し、契約をした。
本人に説明出来ない、理解出来ないまま、家族間では入居の準備に大忙しだった。

施設から、持参するもの一覧が送付され、
それらのものすべてに名前を書かなければならない

靴や下着も着古したものを持たせるよりは、新しいものを持たせたい。
買わなくてはならないものが結構あった。

しかし今は便利なものがあるものだ。

これを注文時に名前を入力すれば、印字された状態で送付される。
アイロンを当てれば出来上がり。

介護お名前シール 衣類用アイロンラベル(施設入所用 名前印刷 介護ネームシール)【 100枚セット (10mm×50mm, 白)】 アイロンシール 耐洗 耐水 防水 ネームアイロン ネームタグ 名札シール 介護用品 ホワイト



衣類はアイロンで良いが、自分用のカップや歯ブラシ、歯磨き粉などにアイロンを当てるわけにいかない。

そういう場合にはシール状のものもある。





準備を着々と進めながら、実家でしか用意できない衣類の準備、
いざ入居させる瞬間を家族として車で送ろうと決めた。

施設からは「迎えの車の手配も可能」と聞いていたけれども、
おそらく施設名がボディに書かれ、車椅子なども載せられる車は、
いかにも介護施設からのお迎え、と母にもわかるだろう。

そういう車に母が大人しく乗車するとは思えなかった。

だから、「食事に行こう」というようなノリで連れ出すしかないと判断した。

トランクに母本人が知らないうちに、母の宿泊の為の衣類やグッズを積んで、
施設まで連れて行く。

「どこへ行くの?」

介護施設は普通の住居棟とはどこか違う雰囲気を纏っている。
それは外見でもわかる。
しかも、どこでも普通それとわかる名前を看板に出している。

「見た瞬間に『嫌だ!』って拒否するだろうなぁ」
「暴れだすかなぁ」
「車を降りない可能性もあるよなぁ」

最近のヘルパーさんへの介護拒否や、「自分でなんでも出来る」モードからすれば、たとえショートとはいえ、すんなりと介護施設に入居するとは思えなかった。

ショートステイと通常の老人ホームの違いを説明しても理解しないだろう。

そうか、実家はいまネズミが這い回っているじゃないか!
年明け早々に駆除業者に連絡をし、複数の業者から見積もりを取った。

2月には専門的な駆除もしてもらった。
薬局で買うネズミ駆除シートではなんともならない事態に至っていた。

「居間まで降りてくるってことは確実に天井裏に何十匹と棲んでます」
「卵があるでしょう」
「ここ1、2年のことじゃない筈です」

業者の説明はだいたい同じだった。

「木造の古い戸建てだと、ネズミが入ってくる口と出る口を特定することが非常に難しいんですよ」
「完全に塞ぐことは難しいですねぇ」

数十万円を支払いながらも完全駆除は出来ない、と改めて説明を受けた。

「家を建て替えるか、本格的な改修工事しかないですねぇ」
完全駆除を期待するのなら何百万、それ以上の費用が必要となりそうだった。

それでも一応、応急処置的な駆除工事はしてもらった。
「また出るようなら連絡ください」

毎日、生活するのは母自身だ。
ネズミの糞が居間や台所のテープルの下に複数見つかっても、目が悪い母にはよく見えていないみたいだ。

ネズミが這い回ることで衛生面の危険が最も心配だった。
母は、テーブルの上に食べかけのパンや餅、おかずを出しっ放しにしていることが多い。
「冬は大丈夫よ」
「後で、またすぐ食べるから」
サランラップみたいなものもかけ方が緩い。
冷蔵庫も本人が閉めたつもりでも空いたままのことがよくあった。

ネズミが這い回っていたことは母も見ている。
業者に駆除工事をしてもらった日も一緒にいた。

「ネズミ駆除してもらったけれど、完全に駆除できないって」
「あら、そうなの」
「家が古いからね」
「そうねぇ」
「だから、改修工事をすることにしたから、少しの間引っ越さないと」
「あら、そうなの」

家の改修工事なんて、家族の生活の中でけっこう大きな決断だろう。

母は夕食の食事メニューを聞くくらいの反応で、
「あら、そうなの」
と返事をする。

どこまで理解しているのか?

しかし、とにもかくにも、母を一定期間外に連れ出す「言い訳」を思いついた。
この時、相当安心して、身体の力が一気に抜けた。

それくらい、「なんと説明しても抵抗、拒否するだろう」と予想し、
構えていたのだった。

うちには事実としてネズミが這い回るという異常な状況があった。
だから、それを利用したわけだけれども、
もし、そうじゃなかったら、いったい何て言ったんだろう?

自分でも分からない。
そんな「If もしも」は考えたくない。
そのくらい、母の様相は拒否感全開だった。

続きます                         (手尾広遠)


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