認知症-#8「要介護度」の実態
誰か一人が認知症になっても普通に一緒に暮らしている家族も世間にはあるという。
大変なことだろう。
だいたいは、行政に申請して「要介護度の認定調査」を依頼して、
「要介護度」を通達される。
その等級によって「介護保険」を使用することになる。
「要支援1」
日常生活動作(食事・排泄・入浴・掃除)の自宅での生活において、基本的な日常生活は一人で行うことが可能だが、手段的日常生活動作(買い物・金銭管理・内服薬管理・電話利用)のどれか1つ、一部見守りや介助が必要な人。
「要支援2」
要支援1に加え、下肢筋力低下により、歩行状態が不安定な人。今後日常生活において介護が必要になる可能性のある人。
「要介護1」
手段的日常生活動作でどれか1つ、毎日介助が必要となる人。日常生活動作においても、歩行不安定や下肢筋力低下により一部介助が必要な人。
「要介護2」
手段的日常生活動作や日常生活動作の一部に、毎日介助が必要になる人。日常生活動作を行うことはできるが、認知症の症状がみられており、日常生活にトラブルのある可能性がある人。
「要介護3」
自立歩行が困難な人で、杖・歩行器や車いすを利用している人。手段的日常生活動作や日常生活動作で、毎日何かの部分でも全面的に介助が必要な人。
「要介護4」
移動には車いすが必要となり、常時介護なしでは、日常生活を送ることができない人。全面的に介護を行う必要はあるものの、会話が行える状態の人が対象です。胃瘻や点滴で、食事介助の必要性がない人は、全面的な介護が必要でないと判断され、要介護4に該当することがあります。
「要介護5」
ほとんど寝たきりの状態で、意思の伝達が困難で、自力で食事が行えない状態の人。日常生活すべての面で、常時介護をしていないと生活することが困難な人。
ちなみに、以上に該当しない「自立」という認定がされることもある。
「自立」まり、支援や介護が必要ない。一人でやっていけますよ。という認定結果。
家族がそうじゃないから認定調査を依頼したのに「自立」と判定されることもあるらしい。
分かりますか?この微妙な言い方。
車椅子に乗るほどの状態で「要介護四」と「五」の差は文章的に理解できると思うけれど、
特養に入所していて寝たきりなのに「要介護五」から「四」に下げられた実例を知っている。
車椅子に乗るほどの状態ではない場合、
以上の文章では明確な差がわかりづらい。
長い時間一緒に過ごす家族から見て「要介護一」かな「要介護三」かな。と予想しても無駄。
覚えておくべきことは次のことだけです
●「自立」では介護保険が使えない
●要介護からケアマナージャーさんが担当につく
●要介護三以上の認定者は「特別養護老人ホーム(特養)」(後述)に入居申請が可能になる。
★「要介護一、二」でも「やむを得ない事情」がある場合、
申請が可能な「特例入所」がある。
申請書に「やむを得ない事情」をケアマネさんに書いてもらう必要があるので、ケアマネさんと十分相談されるべし。
●等級が上がるに連れ介護保険を使用できる点数、項目が増えるが、
その分「自己負担額」も増えていく。
さて、なんで考えても無駄と言い切ったか。
要介護認定調査結果は、
・認定調査員の印象次第
・住民票のある行政の予算次第
だからです。
三十分程度の訪問で認知症患者本人、家族と面談した一人の認定調査員の印象で報告書が作成される。
★その後の認定結果が出るまでの過程は後述。
高齢者人口の割合が多い行政地区の場合、介護保険に対して決まった予算内でやりくりしなくてはならない。
ご存知のように、高齢者が増加し認知症患者、障害者の方など要介護対象者が増えている現状、
「認定結果を厳しくしろ!金ないぞ」
という実態がある。
十年以上前まで、千葉県の介護業界にいた方に話を聞くと、
「昔と今は大違い。東京と千葉もぜんぜん違うわねぇ」
ちなみに千葉県内といっても行政区が違えば大きく事情が違うのはどこの県でも同じことだ。
認知症患者を抱えた家族は自分たちのことと患者のことを考える。
しかし日々、要介護者対象者が増加する現在、行政としてもいちいちそれぞれの固有な事情、要望を満足させられないのだ。
知れば知るほど切なくなってくる。