認知症29-政府の認知症予防は危険だらけ〜むしろ認知症を進行させ、コミュニティを分断させる恐れも〜
6月18日、政府は認知症施策推進大綱を発表した。「予防」と「共生」を2本柱の目的として掲げ、高齢社会のなかで認知症になっても希望を持って日常生活を過ごせる社会を目指すことを目標としているものだ。
(2019/8/15)『JBpress』より
「運動不足の改善」「社会的孤立の解消」「生活習慣病」〜
英国サセックス大学のヤング(Young)氏による12報のランダム化試験のメタアナリシスによると、認知機能が正常な55歳以上の被験者に対して有酸素運動による介入を2か月から6か月間行っても、認知機能の改善は認められなかった。
「認知症施策推進大綱について」厚生労働省
記事の筆者は懸念を2点あげている。
1つ目は、政府の後押しによってできる利権と競争の歪み
(2019/8/15)『JBpress』より
2つ目は、予防を煽ることで生まれるコミュニティの断絶 私の経験では、認知症予防に対して積極的なコミュニティほど、認知症のような症状が出てきた高齢者をコミュニティから排除する傾向がある。
予防への確たるエビデンスがないままに、数字やスローガンだけを掲げてみせるのは、悪しきポピュリズムでしかない。
もういい加減、こういうやり方を真に受けない心持ちが必要ですね。
トランプの様な分かりやすい言い方をしないだけに日本人の政治家、お役人の本音、真意を図らないで期待しても、納税者に還元されるものは微々たるものにしかならないだろう。
報じるマス・メディアが「社会の木鐸」の役割を果たさず、ネット・サイトや個人ブログという単位に真実を求めなくてはならないのは何ともしんどいことである。
記事中、2点目も恐ろしいがそれはどうしても個々、コミュニティ間に由来し関係する者たちの意識、感情に依存してしまう難しいことだ。
許せないのは「政府の後押しによってできる利権と競争の歪み」の箇所だ。
介護施設、サービスも利益優先としか見えないところも見学で何軒か感じたが、行政が新たな天下り先の「利権」の誕生だ、とホクホク顔で捉えているのだとしたら、本当にこの国は信用出来ないということになる。
日々、3K職場の施設で笑顔を絶やさず必死に歯を食いしばって他人の介護に献身されておられるスタッフさんや医療関係者の皆さんの努力が、いとも簡単に国や行政の利益で差配されてしまうとしたら、、、
日々の悩みに右往左往する庶民たちのもっと上の方で、生命を錬金術の具にしか考えていない者たちがものごと、法律家を決定しているのだとしたら、空恐ろしくて居ても立っても居られないではないか。
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・要介護度判定で気をつけること
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・介護用品
・介護施設の種類、選ぶポイント、気をつけること
・入所までの手続き
・これからの介護で考えること〜〜

今日もワイドショーでは呑気に「日本の平均長寿が過去最高を記録」とはしゃいでいる。
それでも世界各国の中では男性は3位、女性は2位。
一方で、男性女性とも1位は香港、男性の2位はスイス、女性の3位はスペイン。
香港では65歳以上になると「長者カード」が配布され交通機関、病院、銀行、スーパーなどでの割引や様々な特典が受けられるという。
もともと香港は特に長寿を誇ってはいなかったのに、行政の施策が功を奏し長寿世界一を実現しているのだから立派なことではないか。
高齢者が安心して住める社会を実現しているではないか。
日本では高齢化が進むと同意に3割が認知症発症、と厚労省自身が予測している。
2025年には認知症患者が700万人とも1,000万人とも。
健康で長生きが一番、なんじゃないの?
どうせ、上の人たちはとうに知っていながらも、見習おうとは思っていないのだろう。
テレビが報じるくらいの情報を上級官僚、政治家が知らない筈がないからだ。
テレビ報道を制作する者、コメントする者は自分自身、肉親が単に歳を重ねながら要介護状態になることを想像してみたことがないのだろうか?
毎日、悲観的にならざるを得ないニュースばかりだぁ。