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    認知症日記-10/45 [2018/7/24] 今度こそ本当にMRIを撮る


    ★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


    1. 2018/7/21〜23

     息子が母の身体を心配し、会社を休んで通院に付き合うことになった。
    診察の予約をし、車で迎えに行く。
    保険証やお薬手帳をバッグに入れ、病院まで行く。
    受付も問診票の記入も息子が行う。
     病院はご存知のように予約を入れていたって、待ち時間がゼロとはいかない。一緒に待合室で待つ。
     デズニーランドのアトラクションを待っているわけじゃないんだから、その先に楽しみがあるわけもない。
     医師の説明も細大漏らさず聞き、質問もする。
    母は耳が遠いし、たった2回一緒に行っただけでも、後から
    さっきお医者さんに糖尿病寸前だって言われたでしょ
    と言っても、
    聞いてない
    そうだったかしら
    という状態だから、家族が代わりに聞くしかない。

     次回の予約を入れる。
    会計を済ませる。
    薬局に処方箋を出す。
    薬剤師さんと話す。
     一日分を4回分に分包してもらうので、一ヶ月分は大量な作業になる。
    受け取り目安の時間を聞き、いったん薬局を出る。
    待ち時間を利用して、食事をする。
     毎回、寿司じゃ飽きるだろうし、何せ母は醤油の海に寿司をくぐらせるくらいに醤油をつける。
    「身体に悪いよ」
    そう言っても
    「こういう食べ方が好きなのよ」
    今さら身体のこと気にしたって何年も生きるわけじゃないんだから
    最後は切り札のように言う。 
    砂糖の入れ過ぎを指摘しても全く同じ会話のループだ。

     病院は午前中に終わったから昼から寿司もないだろう。
    この前はファミレスにした。
    母は87歳とは思えぬ、トンカツ定食などがっつりしたものを注文しようとする。
    「揚げ物よりも、こっちにしたら」
    煮魚定食を示す。
    「こっちが食べたいの。最近揚げ物なんか食べてないし」
    そう言われると、たまにはいいか、と思ってしまう。

    最初はついてきたライスを「こんなに食べられない」と私、妻、弟に皿を出す。
    「いいよ。食べられないなら残していいから」
    いつまで経っても息子が中高生の食欲があると思っているのか。
    我々が手出しをしないと、結局自分でライス一人前食べてしまった。
     あらら。

     薬を取りに行く。
    家に送り届ける。

     家族だからやっていることだ。
    普段の母なら
    ありがとう
    悪いわねぇ
    心配かけてすまないね
    会社休んで大丈夫なの?
    と言うところだった。

     普通の感覚の持ち主だから、ごくごく普通の言葉が出る。
    何より、息子たちと一緒にいるのが
    「いちばん幸せ」と言ってくれるのだから。

     ところが、9種の薬を処方されていることを我々には言わず
    この2回の病院への付き添いでは、
    自分で病院は行っているのに、なんで変えるの
    あたしはどこも悪くない
    とずっと機嫌がよろしくない。

     感謝の言葉どころか、我々が勝手に病人に仕立てているという言い草だった。
    そんなことをして我々に何の得があるの
    わざわざ会社休んで、なんでそんなことすると思うの
    そう言うと、黙る。

     いまなら
    自覚症状のなさ
    記憶の欠如
    機嫌がコロコロ変わる
    ことがすべて認知症の症状からなのだろう、と冷静に受け止められるが、
    この時は認知症を疑っていながら「加齢によるもの」と診断されるものと、
    何故だか信じきっていた。
     うちには認知症はやって来ないのだ、と。

     だから、母の為と京都から帰って来てから2週間で4回も実家に来ているにも関わらず、母の言葉で何度も言い合いになった。
     ポリープを取ったことも言わない
     右眼がほとんど見えないことも言わない
    我慢強いと言えば我慢強い。
    「余計な迷惑をかけたくない」と言われると、しんみりしてしまう。

     しかし、毎月通院していて9種の薬を出されているのに、
    どこも悪くない
    糖尿病を指摘されたことなんかない
    と言い張るのは、事実を否定しているのだから、
    我慢強いかどうかのレベルではなく、嘘つきじゃないか、と。

    7/24にMRIの検査予約が入っていることを特に説明していない。
    説明のしようがないから。
    しかし、また病院で鬼になられるのかと思うと気が重い。

    最悪なのは「病院に行かない」と言い出さないか。
    病院に行っても、MRIの検査を「受けない」と言い出さないか。

    他の病気だったら、ちゃんと説明してその為の検査と言える。
    しかし、認知症のことを「ボケ」「痴呆症」という意識で凝り固まってしまっている母に言いようがない。

    それでもまた毎日、メールと電話で
    7/24の午前中にそっちに行くから
    出かけちゃダメだよ
    と念押しをした。

    2. 2018/7/24、朝

     朝、また実家に向かう車中で妻が電話をして、在宅を確認。

    到着。

    母は普通にテレビを見ていた。
    「さぁ、行くよ」
    「どこ行くの?」
    うう・・

    もう、やり取りをしている時間が勿体無い。
    妻に保険証とお薬手帳(今日は必要がないのだが)を用意させ、
    「いいから用意して」

    これが朝から食事を抜いた検査だったら、
    忘れて食べている可能性があったということだ。

    今日は弟は会社を休めなかった。
    私の方が会社を休みやすかったし、午前中で終わってくれれば午後出勤すればいいことだった。

    3. 2018/7/24、病院でやっとMRI

     まず数日前に「帰る!」と言った病院なのにおとなしく入った。
    検査前に着替えさせられたのにも、素直に従っていた。
     沸点がどこなのか?
     地雷がどこに埋まっているのか?
    さっぱり分からなかった。

     MRIも予約してあるのに、けっこう待たされた。
    検査の前に何か書かされた。
    これも母に任せられないから代筆。

     母の名前が呼ばれた。
    耳が遠く、聞こえていない。
    妻が返事をする。
    さすがにMRIの部屋に一緒に同席するわけにもいかない。
     難聴であることを伝え、看護師さんによろしく、と依頼。

    「何だ、この機械は、って暴れないだろうな」
    「でも、今日は大人しいから大丈夫じゃないかしら」

     ニコニコして母が戻ってきた。
    「頭のとこで、なんかガンガン音がしてた」
    そうそう。
    ちゃんと検査ができたようだ。

     7/27に検査結果を医師から聞くことを確認する。
    もう画像見れば、あなた達でもわかるんじゃないの?と、看護師さんの表情からなんか情報が得られないか、強く見るが何も分からない。
     技師さんじゃないから看護師さんは何も知らないのか、知っていても鉄仮面の訓練の賜物か。
     またこれからの3日。待つ時間というのは嫌なものだ。

    「なんか食べに行こう」
    お気楽な母は、検査着から着替えたらさっそくそう言った。

    飯行ったら午後出じゃなくて、夕出になるけど仕方がない。
    今日は何を食べさせたらいいのか・・・
    こんな悩みだけで済むんだったなんでもないけどさ

    (手尾広遠)


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