日記,  認知症

認知症日記-19/54[2018/8/下旬] 要介護度認定調査


★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


1. 要介護度認定調査日程調整の電話

 7/27に申請したのに連絡が来るのにけっこう時間がかかって、
「お母様の要介護度認定調査に伺う日程を決めさせて頂きたく、お電話を致しました」と電話がかかってきた。

 当然、この連絡先を長男で申請していたから、私に電話が入ったわけで、そうしておかないと認知症本人である母に連絡がいってしまう。
「けっこう、時間がかかるもんなんですね」と皮肉ではなく、率直な感想を漏らすと、
「申し訳ありません、この地区は大変、お申し出の件数が多くて」と答えが返ってきた。

正直、そんなにしょっちゅう認知症を発症する人が行政単位で「お申し出が多い」わけないだろうと思ったが、
「要介護度」は何も認知症に限らず、障害が身体にある人なども「要介護」対象だし、またこの「要介護度」は有効期限が1年間なので、1年毎に認定調査を受けなくてはならない
 だから新規の申請ばかりではなく、更新の申請もあり、認定する人には資格が必要だから日程はけっこうぎゅうぎゅうらしい。
 後から知ったが、けっこう上げ下げがあって、寝たきりで「要介護4」の人が状態が良くなっていないのに翌年「要介護3」に下げられたり、と上がったら上がりっぱなしじゃないらしい。

 しかも、母が住む実家は都内でも有数の高齢者比率が高い区だということを初めて知った。


 電話は、区内の社会福祉協議会というところからだった。
区から委託を受け、調査員の派遣をするのだという。

母のスケジュールはメモってある。
母の予定がない「はず」の日に、家族が一人でも多く立ち合えるように、先方の言われた「平日の午前中」の具体的な日程から家族間で調整すると一旦電話を切った。

 しかし、必ず「平日の午前中」で調整って、うちはまだ私が会社を休みやすい立場にいたから良かったものの、どうしても家族が平日に休めない場合はどうするのだろう?

 認知症を発症した本人だけの面接では、実態調査なんか出来ないんじゃないか?と思った。

 結局、急な調整がきかない弟は候補日の「平日の午前中」に休むことが難しく、私と妻が立ち会うことにしなった。

2. 要介護度認定調査日

 要介護度認定調査日の当日。

真面目そうな女性の調査員の人がやって来た。

ケアマネージャーさんの時と同様、最初は
「誰、この人?」
「また、あたしを病人扱いする人間が来たのか」
と挨拶もほんの少し頭を下げただけで、
愛想が悪いったらありゃしない。

それでも、最初は母本人と面談
私と妻も傍に座るが、基本的には母の受け答えを聞く。


「今日は何月何日ですか」
「生年月日は」
「お年はお幾つですか」
「お食事はどうされていますか」
「運動は週に何回くらいされていますか」

だんだんと、いつもお医者さんやケアマネージャーさんの時と同様、
いったん話し出すと、質問されていないことまで勝手に喋り出す
「あたしは九州の田舎の生まれですからね、
昔は歩いて何キロも通ったもんです。
だからね、足は丈夫なんです」
「前もね、知らない人に、歩くのが早いですねぇ、『お幾つですか』なんて聞かれたりしたくらいでね」
「あのさ、聞かれてないこと喋らないでいいんだよ」
「いいんですよ、大丈夫です」
話の内容だけじゃなく、話しぶりや様子などを観察しているんだろうから、あまり口出ししたくなかったけれど、ここ最近は週に2.3回は様子見に来たり、ほぼ毎日電話をする様にしていたが、こんなに饒舌に話すのは久しく見ていない。

しかも、話す内容が完全に昔のことと現在が混在してしまっている。

調査員が聞く質問は、
長谷川式簡易知能評価スケール
MMSE(精神状態短時間検査)
などに基づく簡単な日常生活に対しての基礎的な問いや、
目の前に3つのもの(急須、鉛筆、定規など)を記憶させて、
10〜15分後に「さっき覚えて頂いた3つのものは何ですか」と短期記憶を確かめたり、
「歩行の様子」「ベッドからの起き上がり」など動作確認をしたり、
全部で20分弱のものだった。

今、これを書くに当たって色々検索してみた。
「要介護認定」。手続きの流れから訪問調査時の注意点、更新まで
訪問調査でチェックを受ける基本項目は全74項目です。大きく5つの群に分かれていますので、下記をご確認ください。
第1群:身体機能・起居動作に関する20項目
(「左上肢にマヒがあるか」「寝返りができるか」など)
第2群:生活機能に関する12項目
(「ベッドから車いすなどに移乗できるか」「食べ物を飲み込むことができるか」など)
第3群:認知機能に関する9項目
(「自分の意思を周囲に伝えられるか」「毎日の日課がわかるか」など)
第4群:認知症等による精神・行動障害に関する15項目
(「物を盗られたなどと被害的になるか」「大声を出すか」など)
第5群:社会生活への適応に関する6項目
(「薬を正しく飲めるか」「金銭管理ができるか」など)
その他:特別な医療行為に関する12項目
(「点滴が行われているか」「導尿などのカテーテルを使用しているか」など)

と詳細に記載されているページがあったが、こんなにじっくり74項目も確認されなかった。
記事が2016年公開、ということで変更されているのか?
基本はこんな感じだったが、ここまで丁寧にやられなかったというのが実感だった。

特に、「ヤバいか?」と思ったのは、母があまりにハキハキと、調理や掃除、洗濯の生活のことを今も現役ばりばりの様に話すので、
「とても頭がはっきりしてらっしゃいますねぇ」
と調査員が言ったことだった。
 いやいや、はっきりしなくなっているので、認知調査をお願いしているんでしょうが

 本人の面談が終わると、
「どうしましょうか?」と調査員が言うので、
母に「ここに居てね。打合せがあるから」と難聴の母の耳に合わせテレビの音量を上げ、居間のドアを閉め、隣の部屋に調査員を呼び込んだ。

調査員は、「何か付け加えたいことはありますか?」ときた。
いやいや、あり過ぎだって。
「えっと、そもそも先ほどの母の言葉は今出来ていないことをさも、現在出来ているかの様に話しているので、信用しないでくださいね」

後でケアマネージャーさんに聞くと、医者やケアマネージャーさん、ヘルパーさんなど他人様の前に出ると急に饒舌になって、ええかっこしいに見せたがるのは「認知症あるある」なのだそうだ。

この時の母は完全なる「認知症あるある」状態だった。
「えっ!?こんなに喋れるの?」と家族の我々もびっくりしたのだった。

去年(2017年)には補聴器を亡くした、
今年(2018年初頭に)通帳を亡くした、
そして、発症を疑った京都行き、
鍵を亡くした、
合鍵を作りに行こうと約束したらその日に鍵屋さんを呼んで別の鍵を付けていた、
同じ話を何度もする、

など思い出しながら、自分でも丁寧に順を追って話し過ぎたと思うくらいに話していく。

「あのぉ。ここ半年のエピソードで判断させて頂くことになっておりますので」
じゃあ、最初からそう言ってくれよ。
「同じ話を何度も、というのはどれくらいの頻度ですか?」
「頻度って、言われても同居しておりませんので」
「お会いされるのは月に何回くらいですか」
「週に2、3度は来ていますし」
「では、週に2、3度同じ話をされるということですね」
「いや、電話はほぼ毎日ですし」
「あのぉ、申し訳ないのですが、次のスケジュールが入ってまして。
時間になってしまいましたので」

えっ!?
それなら最初に何時まで、と言ってくれよ。
そうしたら、大事な部分から話しただろう。
丁寧に話していったら、時間切れって・・・

私と妻(といっても妻は一言二言話しただけの時間しかなかった)と話したのは10分くらいだっただろうか。

急に「終了〜!」と宣告され、我々が伝えたいことの1/3も言い切れなかった気がした。

まぁ、それでも医師がアルツハイマーと診断しているし、
K医師が「あぁ、もう『主治医の意見書』書いて出しておきました。バッチリと」と言ってたし(この場合、何がバッチリなのかよく分からないが)、
正当な認定度が判定されるものと思っていた。

妻はボソッと
「『頭がはっきり』とか言ってたのが気になるけど」と口にした。

妻の予感は当たった。

(手尾広遠)


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