日記,  認知症

認知症日記-23/58[2018/9/上旬-2] 初のディサービスを利用


★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


1. このブログがなかなか更新できなかった事情

2、3日には一度昨年のやり取りを整理しながら本ブログを更新してきた。
前回が10/19でこの間一週間更新できなかった。
どれ程の方にお役に立てているのか判らないブログ更新の言い訳を愚図愚図書くつもりではない。

しかしながらわざわざ「事情」を書こうとしたのは、
現在、母は3軒目の介護施設にお世話になっている状態だ。

 施設に預けたら、もう家族は何もしなくていいというわけにはいかない。
それぞれ家族の事情があると思うが、施設に預けているのは肉親である。自分の母親だ。
 基本的には自宅で独居生活を継続させながらケアマネージャーさんの助言を貰いながら家族が介護できない大半の時間をヘルパーの介護、ディサービスでのリハビリを限度ギリギリまで行なっていたが症状の進行が予想以上に進んだ年末〜春先の状態よりは安定している。
 病院での検査結果や精神的には年初〜春先が最悪であったが、顔色も良くなり転倒の回数も減った。
 正直、これ程までに安定するとは予想しなかったし、すべては施設のスタッフさんのお陰である。
 いくら家族とはいえ素人の介護には限界があり、さすがはプロのスタッフさん達は違うと感心し、感謝の毎日だ。

 我々家族は、可能な限りとは思いながら、月に2、3回面会に行くのが精一杯であるが、
母がどう過ごしているのか?
母がどういう表情なのか?
母がどういう思いでいるのか?
スタッフさんからの時々の連絡でわからないことがないか、直接顔を見ることは重要だし、何よりも実の母なのだ。
放っておく気にはならない。

 認知症症状事態は停滞、内臓的な健康状態は安定していることは直接会った感じでも十分に分かる。
顔を見るだけでわかることも随分とある。
認知症にかかってしまった母の言葉は信用ならない。
言葉よりの表情、顔つきが重要である。

 しかし、である。
施設にはほかにも大勢の患者さん(施設の方は「利用者さん」と呼ぶ)も滞在している。

いわば、母にしてみれば、人生最終章になっていきなり集団生活に放り込まれたわけだ。
 そこでは色々なことが起こる

 詳細はこの日記が2019年10月に到達した時に書くことになるが、施設内での出来事にどう対応し、どう判断、決断するのか
それは認知症患者自身の母には不可能だ。

この間、施設からの連絡が何度かあり、家族が判断しなくてはならないことが生じた。

 健常者ならばお互い、一言二言話せば済むような事柄でも、お互いが認知症患者だ。
 やっていること、やられていることをどれほど認識しているのか定かではない。
 喧嘩、諍い、そういう物騒な事態ではない。
それでも認知症患者同士が同居する施設内では全員にスタッフさんがつきっきりということはあり得ないので、スタッフさんの目の届かない時に色々なことが起きるのだなぁ、と。

 喧嘩、諍いなどに発展する前でなんとかしなくてはならない。
しかし選択肢はそう多くない。

 施設に預けた後も家族が関わることは予想以上に多い。
そんなこんなで時間も取られ、一年前を振り返っている心境になれなかった。

母の命がある限り、認知症であろうがなんだろうが、
離れて暮らしていようが、施設に入居していようが、他人事になるはずがない。
自分を産んでくれた家族なのだから。

2. 9月、介護サービスを利用し始める判断

前回までに書いたように、最初の介護認定で驚愕の「要支援1」と判定され、
とうてい納得出来ずに「区変」申請中だ。

「区分変更」を申請しているものの「取消請求」をしているわけではないので、この時点で母は区役所から「要支援1」と認定されたままである。

「要支援1」は最低ランクの要介護度だが、それでも介護保険を利用できる。
利用できる範囲や点数が一番少ない、というだけで。

ケアマネージャーさんに連れられてディサービスに見学に行った時のことは既に書いた様に、母は完全なる拒絶、立腹状態だった。

しかし、独居のままで薬を処方されただけでいいとは思えない。
なんとかしたい。
近所の知人との接触回数も減っている様だ。

それはそうだろう、多分
「なんか言っていることがおかしい」
「同じことを何度も繰り返し言う」
「何か聞いても、全然関係ない答えが返ってくる」

症状が我々家族の前だけとは考えられない。

今まで一緒に散歩に行ったり、買い物に行ったり、お喋りするのに行き来してくれた近所のお友達も母の変化を察知し始めているんじゃないか?
かと言って、我々がわざわざ「母がアルツハイマーと診断されましたので」と言って回る気にはなれない。

これは非常に悩んだ点だった。
実家に以前より頻繁に行く様になり、母と親しくして貰っている方とお会いしたり、電話がかかってきたことが何度かあった。
名前も顔も知っている。
徒歩数分圏内に何人かいる。
隣の駅や少し離れた場所に住んでいる方も。

認知症を発症したことを正直に打ち明け、何かあった時に連絡を貰う様にした方がいいのだろうか?
いま振り返って客観的に考えれば、そうすることがベターだったかもしれない。

しかしながら、この頃身内の事情をわざわざ公表したくない。
話した相手の方は親しくして下さっているから理解を示してくれるかもしれないが、ひょんなことで近所に噂が伝播することを潔しとしない気持ちが優先した。

まだまだ身内の問題として親戚にも知人、友人にも言いたくなかった。
我々の努力でなんとか改善させられないだろうか、そんなふうに思っていた。

その一環として、使えるものならば介護サービスの一つでも利用したいと思った。

3. 9月、介護サービスを利用し始める

「年寄り扱い」されたと感じたディサービス母の機嫌を損ねた。
88歳が年寄りじゃなくてなんなんだ?と言い返したくもなったが、
母が言いたかったのは「年寄り」ではなく、「ボケ老人」扱いするな、ということの様だった。

ケアマネージャーさんと相談した。
・家から出る機会を増やすこと
・身体を動かすこと
・他人との接触を増やすこと

こういった事は認知症云々にかかわらず、誰もが健康維持の為に心がけなくてはならないことだろう。

「買い物で遠回りすればいいでしょ」
「なるべくちょっとずつ買う様にして、買い物に行く機会を増やせばいいでしょ」

毎日、散歩くらいしなよ、と何年も言ってきたが、少しトライしては億劫になって家の中で編み物をし、
テレビを見て
好きな時間に好きなものを食べることが大半の過ごし方になっていた様だった。

買い物も実際は買い物カート一杯に買い溜めして、なるべく行かなくて済む様にこれでもかと同じものを買い込んでいた。

ケアマネージャーさんから教えて貰った介護サービスに、
「運動、ストレッチだけ」に通うものがあるという。

また母の拒絶にあうのは真っ平だったので私がケアマネージャーさんに連れられ見学に行ってみると、
3台のウォーキング・マシン、
2台の筋トレ・マシン

が置かれた施設だった。

そのほかには数人向けの広いテーブルが二つ並び、椅子が十人以上用意されていた。

ぱっと見では介護施設とは分からない。
・家と施設間を送迎してくれる
・最初に15分程度、簡単なストレッチを行い
・その後は交代でマシンを使用した運動
・マシン使用時にはスタッフさんが一人ずつ付きっ切り
・マシンの順番を待つ間はテーブルで一杯のお茶を供され、他の利用者さんとお喋りをして待つ
・身体を動かす時間は正味30分程度
・送迎される時間込みで所要時間は3時間弱
・毎日、午前の部と午後の部がある

・利用者の大半は軽い認知症を患っているが健康な高齢者も何人かいる

 家から車で直線なら20分かからない商店街にその施設があった。
施設名がやや介護施設を想像させるが「スポーツ〇〇」とついている。
 商店街を歩いて外から見れば、マシンが置かれていることが見え、一見小規模なスポーツ・ジムに見える。

 これなら母が立腹する理由がない。
しかし、一般的なスポーツ・ジムが送迎してくれるはずがない。
ほかの利用者さんもほぼ認知症患者なので介護施設とは後々わかるだろう。

と思いながら、ケアマネージャーさんと相談し、
区役所が独居の高齢者向けに行うキャペーンに当選した」という説明の仕方をして貰い、
「運動不足なんだから」
「送り迎え付きだよ」

と言うとすんなり、行くことを了承した。

毎週木曜日の午前中と決めた。
けっこう人気で定員枠に空きがあるのが週に2、3箇所しかなかった。
候補の曜日のうち、毎週月曜日は相変わらず、趣味の手芸の集まりには行けているみたいだったので、なるべく週7日のうちバランスよく外出する様にと木曜日に勝手に決めた。

しかし問題は、
「新しいことが覚えられない」
のが認知症の特徴で、
昔の話や長年通っている手芸の集まりには行けているのに、
ほかの約束は、
何度言っても、
カレンダーに書いても、
メールで確認しても、
電話で直前に確認しても、
「どこに行くの?」と毎回聞いてくる状況だった。

果たして「毎週木曜日の運動」が覚えられるものだろうか?
その不安があった。

いくら迎えにきて貰っても、覚えていなければ、
・すっかり忘れてふらっと買い物に出たり、外出してしまわないか?
・在宅していても難聴なので門の呼び鈴に反応出来るのか?
・部屋着から外出着へ慌てて着替えたりする事態だと車を待たせてしまう

現実的な悩みが尽きなかった。
そのことを話すと、なんと!
「そういう方は他にもおられますので、前日の夕方と当日朝の直前にお迎えに伺う確認のお電話かメールを差し上げることができます」
と言うではないか!

有難いことこの上なしだ。
そこまで考え態勢を組んでくれるんだな。
感心した。
と同時に、介護サービスはそこまでやらないといけないものなのだな、と認識を新たにした。
実際に運動する時の
・着衣
・運動靴
・タオル
・ノート
(スタッフさんが体温、血圧などを測定してくれ書き込む。何か気になることがあればそれも書いてくれるという)
を一式揃え、
「毎週木曜はこのバッグを持っていけばいいからね」
と準備した。

いざ、初日の前に当然カレンダーに書き込み、
毎日、家族も
9/〇〇の木曜は運動だからね」と電話、メールをした。

そうしても尚、忘れるんじゃないか?出かけてしまわないか?と心配になり、
最初の日の朝会社を半休し、迎えにきてくれる時間に立ち会う為に実家に向かった。
仕事が休みだった妻も一緒だ。

朝電話を入れた。
電話に出ない。
家の電話、携帯いずれにも無反応。
メールにも返信なし。
昨夕は
「わかってまーす。ありがとう」と言っていたが・・・

到着した時、家に入らず、近くから家に電話をした。
相変わらず出ない。
刻々と迎えに時間が近づく。
5分置きに電話した。

やっと出た。
トイレなのか、ほかの部屋なのか、電話があるリビングにいないと聞こえないのか?
そこまで難聴も進んでいるのか?
しかしそれを責めても仕方がない。
「この後、運動だから迎えにきてくれるよ」
「は〜い、準備してま〜す」

本人は周りがやきもき心配していることを知らないから呑気なもんだ。
なんと、我々が立ち会うことを言っていなかったケアマネージャーさんも自転車で来てくれた。
有難い。

車が見えた。
目立つ赤い車。
挨拶ずみのスタッフさんが車から降りてきたところ、私とケアマネージャーさんが出迎える。
スタッフさんが目で母の姿を追っているのがわかる。
「ちゃんと反応出来るか、インターフォンを鳴らすところからやって頂いてもいいでしょうか」
我々が連れ出したのでは意味がない
迎えに来てくれたスタッフさんにちゃんと反応出来るかどうか、それをただ側で確認したかった。
「わかりました」
スタッフさんの理解は早い。

門のインターフォンを鳴らして貰い、無事に母は家から出てきたが、
・朝、確認の電話を貰ってから実際に車が迎えに来るまで玄関のドアを開けっ放しにしていた
・出てきた母の目の前に平日の午前中、我々夫婦が立っていたのに、驚きもせず
「あら、何してんの」
と素っ気ない態度

これから出かけるんだから、我々を相手にしていられないよ、と言わんばかりの態度だった。

まぁ、
認知症の自覚がなく、
家族が何をしたらいいのか、毎日のように悩み、考え、調べ、
ケアマネージャーさんと相談し、
見学に行き、
契約をして、
毎日、電話とメールをして、
ちゃんと行けるかどうか確認に来た、

この間のことなど1ミリも知らないのだから、仕方がなかった。

そう分かっていながら、切なかった

この後、妻とファミレスに寄って、
「仕方がないけど、やってられないって気になるよ」
「仕方ないけれどね」
「スゲぇ身体に悪いもんドカ食いしようぜ」
自分たちなりにも普段から食には気をつけているが、
カロリー高めの定食と甘さたっぷりのスィーツを食った。

これ以降、母とのやり取りで、やってられない気分になると、
自分にご褒美と逆の意味で、
てられなスィーツ
を食うようになった。
そんなことしても誰の特にもならないが、
せめてもの気晴らしだった。

この後、運動をした後帰宅させてくれた後、スタッフさんから
「無事にいま、お送り致しました」とわざわざ電話を貰った。
施設内の様子を聞くと、
さすがに初日なので周りの方と話が弾んだ訳ではなかったようだが、
「ご自分から自己紹介されて、運動はスムーズにこなしておられました」という報告を受け、胸を撫で下ろした。

マシン自体は我々が使用するものとほぼ同種のものだが、高齢者向けに抵抗を最低限に設定してくれているようだった。

切ないながらも、ちゃんと出来るのだろうか、とスタッフさんがついていてくれるから心配はないと頭では理解しつつ、気にしながらドカ食いしていたのだろう。
安心した。

母からは何時間かして、
「さっき運動して汗かいてきました。
お腹すいたから何か食べよっと」
と、メールが来た。

運動前に朝食を終えているはずで、
午後のこんな早い時間にもう一食食べたら、
「あたしはもうここ何年も1日2食なのよ」と普段から言っていることが過食になってしまうではないか?
とは言え、「1日2食」発言もどこまで信用していいものやら。

食事にカウントしない身勝手なおやつはバキバキ食べているんだろうから、血糖値が異常なのだろう。

兎にも角にも、初の介護サービス利用が始まった。
本人は「ジムに通いだした」と思っているようだったが、
どう思おうが、身体に良いことをさせなければいけないから通ってくれれば、ゼロよりはいいだろう。

「それでもいい気になって、むしろ過食が進むんじゃ逆効果だよなぁ」
妻にボヤいても、選択肢がたくさんあるわけではなかった。

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