日記,  認知症

認知症日記-25/60[2018/9/中旬-2] えっ?また新しい「えっ?」


★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


1. 暗証番号が違います

 9月中旬のある日、たまには通院でもなく単に食事にでも一緒に行こうか、と実家に寄り連れ出す。

「銀行に行きたい」と言うので、
駅前の銀行に連れて行く。
ATMで金を下せばいいのにわざわざ出金依頼書を書いている。
「ATMで下せば」
と母の財布からキャッシュカードを出して、
「暗証番号は?ここに書いて」と言った。
「忘れちゃうからいつもこの番号なのよ」

それは母の誕生日から簡単に類推できる番号だった。
危ないなぁ。
そう思いながら、ATMにキャッシュカードを入れ、母が書いた番号をプッシュ。
『暗証番号が違います』と出た。
あれ?押し間違えたかな。
ゆっくりもう一度番号をプッシュ。
やはり、『暗証番号が違います』。

すると、『このキャッシュカードは使えません。窓口まで』
みたいなメッセージが出た。
あれっ?

暗証番号違うんじゃん。
それにしても、2回ミスっただけで、カード不使用になるか?

怪訝な思いで「暗証番号違うってさ」
動揺もせず、母は「あらそう」。
あらそう、って。
けっこう面倒臭いんだけど。

窓口に向かう。
母と一緒だから、まさか私がオレオレ詐偽の犯人で疑われることもないだろう。

「母の代わりに今、キャッシュカードで出金しようとしたら2回母が押し間違えて」
ここは私が代理で押したと言うと厄介かと思い、軽く誤魔化した。
「私は長男です」
と聞かれもしないうちに、免許証と会社の身分証明書を出す。

行員は免許証の名前と写真と私の顔を見比べ、母のキャッシュカードをチェックして、「お待ちください」と端末を操作。

「今日2回、以前にも何度か誤入力があった為に利用停止のロックがかかっていますね」
「え、今日の2回だけじゃないの?」
「はい、前回カードを紛失されて再発行されてから何度か誤入力がありました」だから、今日の2回と足して規定回数を超えたのか?
だから、母は暗証番号が思い出せないから出金依頼書を書こうとしたのか

結局、バッグに印鑑もあったから今年3回目の再発行申請を出し、
「お誕生日など類推されやすい番号以外でお願いします」と言われ、
新規の暗証番号を母の口から言わせ、
それをすかさずスマホのメモに記録した。

出金依頼書に母の希望額を書かせ、捺印して出金も無事に出来た。

多分、前回も母が「泥棒に入られた」と紛失〜再発行依頼をした際にも
「お誕生日など類推されやすい番号以外でお願いします」と言われて、
その時に咄嗟に決めた番号を記憶出来ず、
だから、紛失前は有効だった「昔の暗証番号」を何度か入力して誤入力と判定されたのだろう。

行員さんには家族と信用して貰えたが、また再発行でちゃんと自宅で受け取れるのか、と新たな心配を抱えてしまった。

この後、食事をしながら、
「今日はこんなに食べたから、もうこれが夕食よ」
「一日朝と夕飯しか食べないからね」
と言う。

「大丈夫?まだ早いけど」
「大丈夫よ。歳とったらそんなにお腹も空かないもの」

確かに、身体はちっちゃい癖に食べることが大好きで、
一時は丸っこかったが、この頃は食も細くなった気がするし、
以前より痩せた。

夕食を抜くなら糖尿対策的にもいいだろうし。

この時は、真っ当に納得した。

2. また銀行に行きたい?

店を出て、車で家に向かうつもりだったが、
「なんか買い物ある?スーパー行こうか?」
「えっと、買い物は昨日行った。大丈夫」
「どっか行きたいところある?」

「銀行に行っとこうかしら」

・・・・

はぁ?

「銀行?」

「お金少し下ろしておこうかしらね」

 怒っても仕方がない。
これは病気のせいなんだから。

「さっき行ってきたよ」
「あらそう」
封筒に入った札を見せる。

「なんだか、すぐ忘れちゃって」

そういうレベルじゃない。

さっき行ったばかりで、
単にATMで下ろしたんならほんの数分かもしれないが、
あろうことか、暗証番号を間違え窓口で行員さんの前でやり取りした30分近い時間
それらがすっぽり記憶から抜けているのか・・・・

なんという恐ろしい病気なのか・・・・

今日は私が一緒にいて、何もトラブルに繋がらなかったが、
記憶が抜けてしまうということが、
他の何かの際に起これば、
他人とのトラブルに繋がることは容易に想像される。

いったいどうしたもんか・・・
答えは見つからないまま、母を自宅に届け、
2食目の食後に飲む薬を飲ませ、
実家を後にした。

3. えっ?さっき食べたよね

母の認知症症状を目の前に、何も出来ない自分に呆然としたまま帰宅。

夜、母にメール。
銀行カードが一週間後に届くことを何度も行っておかないと、
また「カードがない。泥棒に入られた」と言い出しかねない

割とすぐ返信が来た。

『わかりました。
今、ご飯を食べているところです

・・・・・・

あのさ、さっきは1日2食だから、今日はもう食べない、って言ったよね。
食後の薬も2回分さっき飲んだよね。

れっきとした3食目。

一緒に食べた2食目の記憶がない・・・

さっき食べたよね
1日2食って言ったのに、それじゃ3食目だよね
薬も2回分、もう飲んだよね

そう言ったとしても、
その記憶がない母に言ったところで、
意図的に嘘をついているわけじゃない母を責めたところで、
事態は改善するわけもない

・・・・・

家族は何が出来るのか・・・

どうしたらいいのか・・・

(手尾広遠)


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