日記,  認知症

認知症日記-7/42 [2018/7/12-2] 認知症を疑って病院を探す


★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


1. 初めて見たお薬手帳

 上機嫌で食事を終えた母と一緒にまた車で家に戻る。
母が玄関を開けるのを後ろで待つ。
 やはり、今までの古い鍵穴に新しい鍵を挿し込もうとしている。
待つ。
 2回、3回。
 これは慣れるしかない。
「さっき鍵変えたよね」
 後ろから声かけると、
「ああ、そうか」
照れ笑いしながら、新しい穴に挿し込んだ。


 考えてみたら親不孝なことに母のお薬手帳を見たことがなかった。
毎月、会うたびにどこか悪いところはないか、病院へは行っているのか、と尋ねるが、
どこも悪いところはない
定期検診みたいな時だけ行ってるだけよ」と言っていた。
それを頭から信じていた。
しかししかし、迂闊だった。

 普段から、決まった友達と決まった場所にしか行かない母の生活になっていたから、会う時は車で我々が考えた場所に連れ出す。
 独りではあまり行かない場所に連れていきたいという思いがあった。
 井の頭公園、深大寺、渋谷、新宿、銀座、日本橋、台場、吉祥寺、代々木、ほかシルク・ド・ソレイユの公演映画クラシック音楽がかかる喫茶店など色々一緒に行った。
 しかし昔の女性である母は色々な場所を楽しむというよりも、とにかく自分の子供、家族と過ごせればどこでもいい、というタイプだった。

 会う時にはほとんど一緒に食事をする。
いくら我々の食事を何十年も作ってくれた料理の腕があっても、独り暮らしになればなかなか毎食手の込んだ献立の料理を作ることもないだろう。
 覗けば冷蔵庫には大した食材がそろっているわけでもなかった。


 なかなか独りでは食べなくなっただろう種類の食事を考えて、中華、すき焼き、イタリアン、和食など選んで「何が食べたい?」と聞く。
なんでもいい」と言いながら、7〜8割は「寿司」になる。
無類の寿司好き。それは我々も同じだから異論はなかった。
 せっかくなのでなるべく回転していない、しかし目ん玉が飛び出ない価格帯で美味しい寿司屋。
 しかも近くに駐車場があるかどうかの判断で決める。

 迂闊だったのは、この食前に母が時々あ、薬飲まなきゃ」とバッグから薬を取り出し飲む。
 そしてまた食後に何錠かの薬を飲む。
これが時々あった。
時々、というのが今考えれば大問題だとわかる。
処方されている薬なら「必ず」飲まなくてはならないはず。
どうして「時々」しか飲まない?

その度に
何の薬飲んでるの?」
と、色が微妙に違う2、3錠の小さな錠剤が小分けにされている。
「何、ってことはないのよ。歳とればあれだから予防のためよと」とまるでサプリを飲むくらいの感じの説明を頭から信じきっていたのだ。

 母のお薬手帳を見て判明したこと。
全部で9種類の薬が処方されている。
しかも毎月
9種類中3種類は血糖値を下げる為の薬。
あとはコレステロール甲状腺とか色々。
そのほかに「風邪をひきやすい」らしく、風邪薬を別に10回分くらい。
「背中や腰が痛い」らしく見たこともない枚数の湿布薬を何十枚も。
これだけが毎月毎月処方されていたのだった。
どこも悪くない」って嘘じゃん。
定期検診くらい」どころって、嘘じゃん。
毎月通院してるんじゃんか。
しかも3種類が血糖値抑制、って糖尿一歩手前ってことか?


「糖尿病になりかけてるんじゃないか」
「そんなことお医者さんに言われてないもの」
母は砂糖、米、餅、パン、蕎麦が大好きだ。
炭水化物、糖質大会だ。
小降りのコーヒーカップにも驚くほどの砂糖を入れる。
何度「入れ過ぎだよ」と喫茶店で人目も気にせず注意したことか。

 しかも薬によって1日2回服用のものもある。
朝夕2食の食前食後1日4回飲むために、薬局さんがわざわざ毎回処方された1ヶ月分を毎日4回分小分け=分包してくれていた。

時々」だけ薬を飲んでいたことが×。
本人の「どこも悪くない」が×。
糖尿病手前の自覚がないことが×。
定期検診くらいしか病院へ行っていない、が×。
 いや、母も一人の人間なので、言い分は信じますよ、そりゃ。
そういうものか、と。
 しかし母の説明はまるで出鱈目だったことが判明した。

2. 認知症って何科?

「考えててもしょうがない。一回医者に連れて行くしかない」
「そうね。このいつもの病院に相談した方がいいのかしら」
「だってここのO病院は母の認知症を見つけられなかったってことだろ、信用できない」
「どうしてこのO病院に行ってるのかしら」
「知らん、近いからだろ」


処方箋を出してくれているO病院は徒歩圏内にあった。
私が子供の頃には無かった。
「そうね、他にここら辺でいい病院て」


そもそも認知症って何科なんだ?」
「もの忘れ外来」とか「精神科」「脳外科」いろいろある。
Z病院(地区内で一番大きな病院)が一番大きいんだけどさ、混んでて半日かかるからなぁ」
 子供の頃から何かといえばZ病院だった。
徒歩圏内ではあるものの、予約していても朝から3、4時間待ちがあたり前。
「この区で『認知症』『内科』両方診てくれて通える距離で探さないとな」
「検索してみたらあるかもね」

今後通院することを考えたら、近くの病院がいい。
「「認知症認定医っていうのがあるみたい。
「そうか、ならそういう医者がいるところの方がいいよ」
「そうよね」
認知症認定医内科よね」
「そう」
「あ、何軒かあるよ」
「ここ、内科と眼科の先生もいるし、結構大きな病院よ」
妻が検索した結果の病院をホームページを見ると、Z病院で勤務医の経験がある先生が独立して開業した病院が最寄りの駅から2駅先にあった。
 認知症認定医、内科眼科(この眼科医もいることが後で助かったり、悩まされたり・・)
 車なら15分もかからない。

★後にケアマネージャーさんとの会話にも出てくる「認知症認定」という表記が
 現在、この病院のホームページから無くなっている。
 また日本認知症学会の認知症専門医の一覧には出てこない。
 それでも「P区(実家のある区)、内科、認知症」で検索すると、
 現在でも結構上位に出てくる。
 どういうことなのだろうか・・・

3. 病院を予約

「土曜日でもやっているって」
電話口を押さえて病院の受付と話している妻が言った。
「早いほうがいいだろ」
先週の土曜日は京都にいて、今週は病院か。
目まぐるしすぎてクラクラしてきた。

「とにかく連れて行かなきゃ、いつもと違うのは確かなんだから」
お義母さんにはなんて説明するの
「説明しようがないよな。認知症かもって言えないしな」
「抵抗しないかしら。いきなり知らない病院に連れて行って」

もともと
「片方の目が見えにくい」
「正座ができない」
「膝が痛い」
など言うくせに「病院へ行こうよ」と言えば、
「行かない」「大丈夫」が口癖なので、
今回のことだって本人の意思を確認しても仕方がない。
腸のポリープを取った時も部分入れ歯にした時も、家族の我々は後から知った。


「そんなの自分でいけるもの」
「いちいちあんた達に迷惑かけらんないでしょ」

 母が使っている居間の壁にかかっている大きな月間カレンダーの7/14赤く大きく囲って、病院、と書き入れた
母は「何の病院へ行くの」と少し機嫌が悪くなった。
「いいから、一緒に行くからね。午前中いてね」

 だけど、この頃はまだ自分たちの生活までも巻き込まれることになるなんて想像だにしていなかった。
 他の病気を同様に「検査、診断、治療」をしていくだけ。
そう考えていた。
認知症があんなに手強いものだとは(現在も進行中なのだが)・・・

(手尾広遠)


認知症介護マニュアルを出版しました

  ★「認知症関連NEWS」ほぼ毎日更新中
★  認知症介護ご家族向けマニュアル書籍版  2019/8/21発売
母が認知症、家族はボロボロ: ~親が認知症を発症したら家族に襲いかかる100のこと~(書籍版)

★ 認知症介護ご家族向けマニュアルKindle版 発売中

母が認知症、家族はボロボロ: 〜親が認知症を発症したら家族に襲いかかる100のこと〜 [Kindle版]
お陰様で「Kindleストア食品・衛生・福祉の資格・検定部門で1位!」
100項目の一部をご紹介、
・家族ができる介護
・要介護度判定で気をつけること
・認知症が治ると宣言するお医者さん
・介護用品
・介護施設の種類、選ぶポイント、気をつけること
・入所までの手続き
・これからの介護で考えること〜〜
書籍版
Kindle版
著作:手尾広遠、表紙:大山あさこ、発売:ドルフィン・パブリッシャー

error: Content is protected !!