認知症

認知症-36 日記-1 2018/7/6-1 あれ?なんか変だ


 ここまで、母がアルツハイマー型認知症を発症してから付け焼き刃でドタバタの介護をケアマネージャーさんやヘルパーさんのお陰でなんとかこなしてきたことから学んだ「やってきた事」の抜粋を書いてきた。

 この後、すったもんだあって、今春より母を有料老人ホームに入居させている現状なのだけれど、改めて昨夏よりの母と我々家族のドタバタを抜粋ではなく、日記形式で書いていくことにしたい。

元になったのは
・筆者である長男のメモ
・母との携帯メール
・長男と妻、次男つまり家族間のメール
・家族間のラインのやり取り
・ケアマネージャーさんとのメール
・ヘルパーさんとのメール

など散逸していたものを整理していて、どこで一体どうなったのか?
未だに家族にとっては「進行が想定より早過ぎる」という思いがあって、
何が何だか分からないままなのである。

 アルツハイマー型認知症と診断されてから半年で入居を検討せざるを得なくなり、8ヶ月で入居などとは考えてもみなかった。
 露悪趣味がある筈もないが、自分たち家族だけで振り返るのではなく公開することで、一家族でも参考にして頂けるものならば、という意図でのことです。
 入居させている現在も「母は生きている」。
まだ意識がないわけではない。
 家族のことも認識はできる。
アルツハイマー型認知症を発症しているが、身体は年齢相応に衰えはしていても寝たきりではなく自分の足で歩ける。
 本人の意識では「至って元気」なのだ。
人生100年時代の現在、これから家族は何をしていくべきなのか?
面会に行った日も行かなかった日も考え続けている。
 何らかのお声も頂ければ幸いです。

★事実を正確に伝える為には本来ならば総てあからさまに書きたいところであるが、お世話になった介護関係者の方々や近隣の方々の個人情報の問題もあるので固有名詞は架空のものにせざるを得ない箇所があることを最初にお断りしておきます。


1. 2018/7/6という日は

 2018/7/6は後に「平成30年7 月豪雨」と命名された西日本が記録的大雨が広い地域に甚大な被害を齎した気候の1日だった。
 意識的にドラマティックに語ろうとしているのではない。
本当にその日がきっかけになった。
 忘れようにも忘れられないのは毎年恒例の父親、祖父母の墓参りの日であったからだ。

2. 2018/7/6に京都へ行った理由

 うちの実家は両親ともに九州。
九州に先祖代々の墓があっても、家族が住む東京から九州へ毎年墓参りをするのは厳しい。
 そう考えた祖父が生前に東京と九州の中間地点の京都に墓を買った。


 なぜ中間地点にする?それは洒落としては理解してもどうせ分骨して墓を買うなら東京から行くのに便利な場所にすべきだったんじゃないか?
いまは自分ならば、とそう考えるが祖父が両親と相談して京都に分骨したのは40年くらい前の話。長男の私や次男はその会話に加わっていない。

 とにかくそんなわけで、いま存命の母を除き、京都に墓を購入した張本人の祖父と父を含む、双方の祖父母や他先祖の墓参りの為に毎年京都に行くことが慣例になっている。


 九州より近いとはいえ全員の命日の度に行くことはなかなか困難だ。
だから東京近郊にしておけば良かったのに、とぶつぶつ言いながら行かないわけにもいかない。
 東京近郊に墓を移そうと毎年言う。
「あたしが生きているうちはこのままでいいじゃない。あたしが死んだ後はあんた達が好きなようにして」
そう言い張る母の言葉に逆らう必要もない。


 結局、毎年毎年京都へ墓参りをする慣習が継続している。
ところが、父の命日が祇園祭の期間と被るのでホテルが取れない、高い。
 そう、せっかく京都まで行くのだから墓参りを終えたら、お寺さんを巡ったり美味しいものを食べたりと母、長男の私、妻、次男の4人で一泊することをここ最近のパターンとしてきた。
 自動的に7月の1週目の週末に行くことになっていた。
だから2018/7/6〜7/7に京都へ墓参りに行くというのは新幹線とホテルを予約をした一ヶ月以上前から決まっていたことなのだ。

3. 早朝の品川駅で

 独居の母、都内のマンションに住む私と妻、千葉に住む次男が早朝の新幹線に乗る為に品川駅で待ち合わせる。
 東京もかなりの雨、天気予報で関西方面も大雨警報は確認していた。


いつもの通り、約束の時間より早く着いてる母の機嫌が悪い
「あんた達がぜんぜん来ないから」手には携帯。
「ちゃんと待合せ時間、昨日も言ったよね。電話とメールで」
 えっ、という表情で携帯の画面を操作しようとする。
はぁ?メール読んでないの?
でも昨夜、電話で話したよね。何日か前も。
 それに「いま品川に着きました」って、早く着いた時はいつもはメールくれるじゃん。
いつものメールが今朝は来なかった
いくつかの?が頭に浮かぶ。


しかしゆっくりしていられない。
新幹線の発車時刻は迫っている。
その前に母親が楽しみにしている駅弁を買わなくてはならない。
「いいから、駅弁買いに行こう」

まだ携帯の画面を操作しようと格闘している母親の腕を引き、売店へ。
母の足元を見ると、なんとサンダル履き
おいおい、近所のスーパーに買い物に行くんじゃないって。
「これが履きやすいのよ」
大雨だって言うのに。

 一泊分の衣類他を詰めたキャリーバッグの荷造りは一人でやった。
毎年のことだ。
 まぁ、サンダルで来たことくらい別にいいのか。
この段階では大袈裟に考えず、家族で笑って心配していただけだ。
 雨の京都の道をサンダルで歩けるか?
まぁ、無理そうなら京都で長靴を買えばいい。
 もちろん、この段階で「認知症」の「に」の字も頭には浮かばなかった。

4. 食欲旺盛、他人に無関心・・・

 昨夏、私は話に聞いていたファスティング、いわゆるプチ断食を試み三日間絶食をした後、一日一食の生活を続けていた。
 腸を綺麗にする。それがすべての基本なのだと読んだから。
その効果について書くことは本書の目的ではないので割愛するが、そんな事情で私と朝はあまり量を食べられない嫁を除き、母親と弟の分だけの駅弁購入となった。
それは毎年の京都行きでは初めてのことだった。


「あら、あんた達二人は買わないの?食べないの?」
当然、そんな問いがくる場面だった。
 母親に断食の効果をうまく説明できるだろうか、ちゃんと理解できるだろうか。
そう構えていた予想は裏切られた。
母親は何も尋ねてこなかった。
説明の手間は省けた。
でも「なんで?」「気にならないか?普通」

 新幹線の中で駅弁を美味そうに一人分平らげる。
まだ朝の7時だった。
たぶん5時起きで電車で品川まで来たんだ。
腹も減ったんだろう。
87歳の母の食欲は旺盛だ。

5. 雨とともに京都に到着

 京都駅に着いた。
予報通りの雨だ。
まだ到着時は災害が多発するような気配は感じなかった。
タクシーの運転手さんも「よく降りますなぁ」という程度の反応だった。
 しかし、これからが大変だった。
(次回に続きます)


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